1. ハーディー・ワインベルグ平衡 (Hardy-Weinberg equilibrium)

ハーディー・ワインベルグ平衡 

  1. 集団のサイズが充分大きい
  2. この遺伝座に関して、雌雄間の交配がランダム(任意交配)である
  3. この遺伝子座に新たな突然変異が生じない
  4. 他集団から、あるいは、他集団への移住がない
  5. この遺伝子座に関して自然選択がない、つまり、遺伝子型間で適応度に差がない

という仮定条件下の集団において、ある遺伝子座に対立遺伝子A, a が、それぞれの頻度p, qにて存在する時、 各遺伝子型頻度が

A/A = p2
A/a = 2pq
a/a = q2

となる法則です。この法則(原理)は対立遺伝子が2つ以上ある場合も有効です。

また、ある集団でHWEが成り立っていなくとも、 その集団が上記条件にて世代を重ねることでHWEに到達します。

〔例〕
ハーディー・ワインベルグ平衡

ある遺伝子座XにはR、Bの2つの対立遺伝子が存在し、遺伝子型R/Rでは赤色(Red)、R/Bでは黄色(Yellow)、B/B では青色(Blue)の表現型を示すものとします。 以下のような実測データがあるとき

表現型遺伝子型個体数遺伝子型頻度(実測値)
RedR/R56151.2%
YellowR/B24339.5%
BlueB/B1429.3%

この時、R、Bの遺伝子頻度P(R)、P(B)は(2×ホモ固体数+ヘテロ個体数)/(2×全固体数)で計算できるので

P(R) = (2×561 + 243) / (2×946)= 0.721
P(B) = (2×142+ 243) / (2×946)= 0.279

HWEの法則より遺伝子型頻度を推測すると

P(R/R) = P(R)2 = 0.721×0.721 = 0.52  → 52.0%
P(R/B) = 2×P(R)×P(B) = 2×0.721×0.279 = 0.40  → 40.0%
P(B/B) = P(B)2 = 0.279×0.279 = 0.08  →  8.0%

HWEの仮定下で算出した遺伝子型頻度は、実測データから算出した遺伝子型頻度とほぼ同じであることがわかります。

この解析を行う意味は、得られた集団データが正確なものであるかどうかの判定です。HWEからあまりにずれているデータでは測定や仮説の誤りを検討する必要があります。

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