ハーディー・ワインベルグ平衡
- 集団のサイズが充分大きい
- この遺伝座に関して、雌雄間の交配がランダム(任意交配)である
- この遺伝子座に新たな突然変異が生じない
- 他集団から、あるいは、他集団への移住がない
- この遺伝子座に関して自然選択がない、つまり、遺伝子型間で適応度に差がない
という仮定条件下の集団において、ある遺伝子座に対立遺伝子A, a が、それぞれの頻度p, qにて存在する時、 各遺伝子型頻度が
A/A = p2 |
A/a = 2pq |
a/a = q2 |
となる法則です。この法則(原理)は対立遺伝子が2つ以上ある場合も有効です。
また、ある集団でHWEが成り立っていなくとも、 その集団が上記条件にて世代を重ねることでHWEに到達します。
〔例〕
ハーディー・ワインベルグ平衡ある遺伝子座XにはR、Bの2つの対立遺伝子が存在し、遺伝子型R/Rでは赤色(Red)、R/Bでは黄色(Yellow)、B/B では青色(Blue)の表現型を示すものとします。 以下のような実測データがあるとき
表現型 遺伝子型 個体数 遺伝子型頻度(実測値) Red R/R 561 51.2% Yellow R/B 243 39.5% Blue B/B 142 9.3% この時、R、Bの遺伝子頻度P(R)、P(B)は(2×ホモ固体数+ヘテロ個体数)/(2×全固体数)で計算できるので
P(R) = (2×561 + 243) / (2×946) = 0.721 P(B) = (2×142+ 243) / (2×946) = 0.279 HWEの法則より遺伝子型頻度を推測すると
P(R/R) = P(R)2 = 0.721×0.721 = 0.52 → 52.0% P(R/B) = 2×P(R)×P(B) = 2×0.721×0.279 = 0.40 → 40.0% P(B/B) = P(B)2 = 0.279×0.279 = 0.08 → 8.0% HWEの仮定下で算出した遺伝子型頻度は、実測データから算出した遺伝子型頻度とほぼ同じであることがわかります。
この解析を行う意味は、得られた集団データが正確なものであるかどうかの判定です。HWEからあまりにずれているデータでは測定や仮説の誤りを検討する必要があります。