日刊工業新聞より
新分野に売って出る/ダイナコム 蛍光光度解析ソフト
ゲノム分野の技術を応用
統計解析支援ソフトウエアの開発・販売、受託解析などを手がけるダイナコム(千葉市美浜区、藤宮仁社長、043・213・8131)。これまでゲノム研究分野の統計解析を主力としてきたが、今春に蛍光光度計の測定データ解析ソフト「3Dスペクタライズ」を発売し、分析機器のデータ解析分野に参入した。食品関連の民間企業に取引先の幅を広げるなど、新市場を精力的に開拓している。
蛍光光度計は、試料にさまざまな波長の光を照射した時の発光現象(蛍光)を読み取る装置で、食品や医薬品などの分析に利用される。ただ、蛍光を読み取るだけでは意味がなく、どの波長でどんな蛍光が現れるかといった膨大なデータを比較・解析することで、試料のグループ分けや未知の試料の判別などに利用できるようになる。これを可能にするのが同社のソフトで、データの前処理からグラフ表示、統計解析などの機能をパッケージで提供する。
1995年設立の同社は、ゲノムの統計解析では名の知られた企業に成長している。ゲノム研究は将来の大きな発展が期待されている一方、統計解析の市場規模としてはまだまだ小さいのが実情だった。そこで同社は、培った技術を分析機器分野に応用することを模索。装置メーカーの意見も参考にしながら、「まずは特定のユーザーにしっかり認知してもらえるように、思い切って蛍光光度解析にターゲットを絞って製品化した」(藤宮社長)という。
今春の発売以降、引き合いは好調で、藤宮社長は「食品関連のメーカーなどが品質管理に役立てたいというニーズが結構ある」と手応えを語る。海外で使いたいという要求も多く、年内には英語版の発売を予定している。